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Vol.5 冬は1年の終わり、または1年の始まり
日本でもずいぶんと「薬膳」という言葉を耳にするようになりました。しかしまだ「薬膳」というと特別な食材を使った料理と思われがちなようですが、そんなことはありません。私たちが日常使っている食材を、体調や体質に合わせて正しく使うことから「薬膳」はスタートします。
監修
劉 海洋
(りゅうかいよう)/
辰巳 洋(たつみ なみ)
北京中医学院(現、北京中医薬大学)中医学部卒業。元、中国中医研究院(北京)主治医師。元、「中国中西医結合雑誌」(北京)編集者 現本草薬膳学院学院長
http://www.gkt.co.jp/890/
自然界は春温・夏暑・秋燥を経てから寒い冬に入ります。天気は寒く乾燥し、風が北から吹いてきて、身体の芯まで冷えてしまうため、冬は私たちの身体にとって一番悪い季節となります。よく身体に浸入する邪気には寒邪、燥邪、風邪があります。
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寒邪:身体の気の巡り、血の循環に障害を与え、筋肉・血管の痙攣を引き起こします。
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燥邪:身体の津液、血を消耗し、皮膚・毛髪・粘膜などの乾燥を引き起こします。
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風邪:北風によって、寒邪と燥邪がもっと身体に悪影響を与えます。
冬にはこの3つの影響により、ほかの季節より多くの病気にかかりやすくなります。インフルエンザ、咳、気管支炎、肺炎、心・脳血管の疾病、関節・筋肉の疾病、アレルギー性疾病がよくみられます。
この季節には身体を丈夫にし、病気への抵抗能力を高めることが大切です。以前お話したように、冬は腎を補うことが中心になります。腎は疲れた各臓腑を養うため、さらに来年の各臓腑の働きのために陽を補い、陰を潤し、精微を貯蔵することにより、体質を改善し病気にかかりにくい身体を作ります。
腎を補うために、次の食材をおすすめします。
気力を補う
血を養う
身体を温める
身体を潤す
米、もち米、粟、長芋、じゃが芋、豆腐、人参、茸、鶏肉、鶉、牛肉、兎肉、青魚
桑の実、茘枝、松の実、木耳、ほうれん草、人参、豚肉、羊肉、牛のレバー、羊のレバー、ナマコ、スッポン、ムール貝
胡桃、ししとう、唐辛子、いんげん、韮、羊肉、鹿肉、鳩の玉子、海老、スープ、鶏肉、羊肉、牛肉、酒、黒砂糖、肉桂、胡椒、花椒、八角、茴香、小茴香、丁香、大蒜、葱、生姜、乾姜、紫蘇、桂花
枸杞子、木耳、銀耳、百合、牛乳、玉子の黄身、ホタテ、貝類、蜂蜜、黒胡麻、豚肉、なまこ、バナナ、蜂蜜、梨、葡萄、桑の実
立冬からのもうひとつの特徴は、伝統的な行事が多くなることです。このほとんどが食と関係しています。昔より、旧暦の12月8日には先祖と神様に供するための「蝋八」という祭日があります。この日は多くの木の実、米、植物の種を用いて作った「蝋八粥(前回の献立で紹介)」を食べます。この日以降、新年を迎えるために忙しくなります。
中国の習慣では、旧暦の1月1日を新年とし、「春節」ともいわれています。春節の前夜には家族全員が集まり、一家団欒で丸鶏、肉、魚などのおかずをよく食べます。北の地方では皆、水餃子を作り、南ではお餅の料理を多く作り、大晦日の夜から食べはじめます。
旧暦の1月15日を「元宵節」といいます。胡麻・ピーナツなどの餡の入った米の団子を食べる習慣があります。これには家族の円満を祈る気持ちが込められています。
冬の3ヶ月はほかの季節よりもよく食べるために、食べ過ぎになりやすい季節となります。さらに運動が少なくなり、身体の新陳代謝も遅くなるため、体重が増え、消化不良、アルコール中毒、血圧の上昇がみられます。また、心臓に負担がかかる、痰湿が出やすい、胃の疾病、肝胆すい臓の炎症・痛風病状、血糖値の異常、腎機能の低下などの症状も多くなります。そういったときには消化を促進するものと、気血の巡りをよくするものを多く取ることをおすすめします。
消化促進
気血の巡りをよくする
大根、キャベツ、山査、南瓜、里芋、香菜、茶、神曲、麦芽、鶏内金(砂袋の内側についている金色の膜)、酢
生姜、葱、玉ねぎ、大蒜、ラッキョウ、ししとう、唐辛子、大根、桃仁、ナス、みかん、陳皮、山査、酒、酢
調理方法は、鍋物、蒸し物、お粥、すき焼や焼き物をおすすめします。
サラダや生もののように、冷たいものは避けます。
養生として、冬は夜早く寝る。朝も遅くまで寝て、寒気から身体を守ることを強調しています。
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冬の寒さから身体を温め、お正月の食べ過ぎから気の巡りをよくさせ、消化機能を高めてくれます。
ハマナス:
身体を温め、気の巡りをよくさせます。
陳皮:
身体を温めると同時に、気の巡りをよくさせ消化を促進します。
紅茶:
発酵させて作った紅茶は、身体を温める効果があります。
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材 料:
ハマナス1g、陳皮2g、紅茶3g、湯500ml
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作り方:
お湯を沸かし、材料を全部入れて5分間蒸らします。混ぜてから飲みます。
冬の寒さから身体を温め、お正月の疲れから気と血を養い、精神的にリラックスさせてくれます。
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材 料:
ジャスミン茶3g、菊花1g、大棗(刻み)3g、龍眼肉(ライチより小さい干した果物)3g、枸杞子3g、干し葡萄3g、陳皮2g、甘草1g、水800ml
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作り方:
水に大棗、枸杞子、干し葡萄、陳皮、甘草を入れて5分間煎じてからほかの材料を全部入れ、10分間蒸らします。混ぜてから漉して飲みます。煎じた実も食べられます。
お粥は食べ過ぎによる消化器官の疲れを癒す、もっとも適切な料理です。野菜を入れると、胃腸を整えてくれます。
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材 料:
米1合、小松菜2本、豚挽肉80g、葱少々、生姜薄切り2枚、塩、サラダ油少々、水1000ml
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作り方:
@ 小松菜、葱、生姜をみじん切りにします。
A 挽肉に葱、生姜、塩で味付けをします。
B 鍋にサラダ油を熱くし、
Aを炒めてから@を加えてさらに炒め、塩で調味し器に盛ります。
C 米と水で粥を作り、出来上がったらBを加え、塩で調味します。
お正月の食べ過ぎによって胃腸に熱がこもってしまうので、寒性を持つ豆腐を食べましょう。益気和中、生津潤燥と同時に清熱解毒作用があり、胃腸を整えてくれます。
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材 料:
絹豆腐1丁、卵5個、椎茸2個、人参少々、ロースハム2枚、グリンピース少々、葱少々、生姜少々、塩、胡椒、醤油、牛乳200ml、片栗粉、胡麻油
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作り方:
@ 豆腐を潰し漉します。卵は黄身と白身を別に取り、白身に塩を少々加えよく泡立てます。椎茸、人参、ハム、葱、生姜はみじん切りにします。
A ボールに豆腐、牛乳、白身を入れよく混ぜ、蒸し器で20分間蒸します。
B 鍋にサラダ油を熱くし黄身を炒め、取り出します。続いて椎茸を炒め、葱、生姜を入れた後、人参、ハム、塩、醤油を入れてさらに炒めます。黄身、水を加えて沸騰したら、片栗粉でとろみをつけます。胡椒と胡麻油をかけます。
C Aを人数分に取り分け、上にBをかけます。
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