
長湯温泉のシンボル的な建物
「御前湯」
(直入町温泉療養文化館) |
 |
ツムラ研究所で入浴剤の開発にあたるチームに要求されるのは、科学的な知識や開発手法の蓄積だけではない。彼らはある種の「感性」をも必要とされる。
成分がもたらす効能や安全性は、無論、非常に綿密な科学によるものだが、例えば、入浴剤の色を決める出発点は担当者たちの感性によるところも大きい。最終的には厳しいモニター調査によって決定されるが、原点には人間的な感性そのものが存在するのである。 |
 |
 |
 |
| 入浴剤は、温泉の湯そのものを再現することを目的としているわけではない。しかし、温泉地のもっている独特のロケーションを把握することは、温泉の科学的なデータ収集と同様に大切なことだとされている。温泉地の周囲の山の色、川や海の様子、樹木や岩のたたずまい、風の香りなどは、製品開発のための目に見えない材料にもなっているからだ。これらを感じ取るのがひとつの感性ということになる。 |
| そのために、研究員らの開発担当者は全国の温泉地を調査することも重要な職務になっている。研究員の一人は言う。「仕事で温泉に行くわけですから、のんびり過ごすというわけにはいきません。温泉地のロケーションを心に刻み付け、測定機器を持ち歩いて、短期間で何カ所も回るのですから真剣そのものです。もっとも、こういう気持ちは家で風呂に入っている時も同じで、さまざまな入浴剤の試作品を使いながらバスルームで考えごとばかりです」 |
 |
 |
 |
そうした温泉地調査の中で、九州の名湯である長湯温泉を訪ねたいという希望がつのっていった。日本一の炭酸泉として有名な温泉だが、まだ行ったことのないチームのメンバーが何人かいたからだ。 |