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きき湯開発プロジェクト 第6回「パッケージは語る」
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前回のあらすじ
 ツムラ社内での「きき湯」開発プロジェクトもいよいよ大詰めを迎え、苦労したブリケット形状の成形も完成に近づいていたが、開発チーム内の緊張感は続いていた。 開発チームにはまだもう一つの大きな課題が残っていたのである。
それは「パッケージ」であった。
新製品「きき湯」のコンセプトが揃い始めた
ツムラ社内での「きき湯」開発プロジェクトもいよいよ大詰めを迎えていた。
苦労したブリケット形状の成形にもどうやら光が射し始めており、社内にも「いよいよだ」という興奮が見え隠れしている。しかしそんな雰囲気はまだ他人事だといわんばかりに、開発チーム内の緊張感は続いていた。
開発チームにはまだもう一つの大きな課題が残っていたのである。
それは「パッケージ」であった。
これまでの入浴剤のパッケージに円形や楕円形の筒状が多いのは周知の事実である。また、その色合いやデザインも、日用品らしい明るく華やかなものか「日本の名湯シリーズ」のように情緒に訴えるものが大半を占めていた。
「日用品はこうあるべし」という周囲の声や常識と対峙しながらも、開発陣の心には譲れない一つの決心があった。
それは「きき湯」という商品そのものが開発準備に数年を費やし、何度もそのコンセプトを確認しながらすすめてきた、ある意味「意思を持った商品である」こと。だからこそ、「商品の持つ意思を正確に消費者に説明し、伝えたい」という思いが開発チームの中には存在していたのだった。
新製品「きき湯」のコンセプトが揃い始めた
 これまでの円形や楕円形の筒では、商品名を大きく入れ、成分表示を入れるだけで終わってしまう。それでは「きき湯」の良さをとても伝えきれない。
試行錯誤を繰り返すうちに考えられたのが、現在の「角柱」という形状だった。これなら4面をフルに使うことができる。4面に別れているというだけで掲載できる情報量が存外多いことに、当事者である開発チームも驚いた。ボトルとしての落ち着きもいい。四角い筒でいこう、形状はこれで決まった。
さらにデザインやカラーにもこだわった。
当初、開発チームが出した希望の中には「透明ボトルに入れて、中味のブリケットの粒が見えるようにしたい」という冒険的なものすらあった。
結果的には、透明ボトルは日光を通してしまうということで製品の日焼けにつながり、それこそ「日の目をみなかった」のであるが、今までにない入浴剤を出そうという意気込みはこのようなエピソードからも伝わってくる。
その背景には、単なる入浴剤として存在するのではなく、薬局やドラッグストアーで「疲労解消コーナー」のようなものが存在したなら、ドリンク剤や湿布薬と並べて置かれても違和感のないものにしたい、という開発チームの心意気があったのだ。
キューブタイプ、縦長タイプ、さまざまなモック(模型)が作られ、検討された。蓋と本体のバランス。手に持ったときの感触や持ちやすさ、手のひらへの収まり具合。スタイルとともに扱いやすさも「きき湯」のような日用品の場合は大きなウェイトを占める。
デザイン面でいくらセンスよく格好よく作ってみても、手に取りやすい親しみやすさがなければ、毎日使う商品として消費者に受け入られないことはわかっている。
それは開発チームが長年の経験のなかで培ってきたノウハウであり、また新製品を出すたびに悩むところもであった。数種類のモックを実際に店頭に並べさせてもらい、他商品とのバランスや目にとまる頻度などさまざまな方面から研究がなされた。
膨大な数の試作品
 容量という課題もあった。ブリケットという形状が容量の課題に拍車をかけた。粉末や液体なら多少の衝撃には応えられる。固体ならば個別にしてさらに箱に入れるなど丁寧な包装を施せばよい。しかし、ブリケットは「きき湯」の成分を十分に引き出す形状を維持しつつ、粉末のような手軽さがあるところに意味がある。それをかなえられる容器でなければならないのだ。
開発チームの気持ちとしてたくさん使って欲しいというのは当然だ。しかし、女性が買って持ち帰るのに、次に買うのが嫌になってしまうような重さでは意味がない。
12回分360gという内容量は、こうした試行錯誤から生まれたものであった。
さらにパッケージのカラーも最重要要素である。「アースカラー」という案もあったが、最終的にはビタミンカラー、サプリメントを連想させ元気なイメージの、「グリーン」「「オレンジ」「ベージュ」が採用された。
パッケージに表示する要素も、まるで1冊の雑誌でも作るのか、と冗談がとぶほど念入りに文章が練られ校正が重ねられた。4面使用が功を奏して、この手の商品としては活気的な説明チャートまで記載された。
濃い華やかなカラーのパッケージが並ぶ入浴剤のコーナーに、一見して入浴剤には見えない白いシンプルな箱を置くという冒険は敢行されたのである。
しかし並べてみると、他のパッケージが派手な分、シンプルで清潔感があり目をひく。
開発陣の誠意や誠実さが、パッケージにそのまま現れており、いかにも「よさそう」な雰囲気をかもし出している。
「これで行こう!」決定が下った。それは発売予定日に間に合うぎりぎりの日程であった。

製品そのものはもちろんのこと、パッケージの隅々に至るまで開発者の思いが込められた
「きき湯」は、2003年8月20日、新製品としてツムラの工場を出荷して行った。

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