
ツムラ社内での「きき湯」開発プロジェクトもいよいよ大詰めを迎えていた。
苦労したブリケット形状の成形にもどうやら光が射し始めており、社内にも「いよいよだ」という興奮が見え隠れしている。しかしそんな雰囲気はまだ他人事だといわんばかりに、開発チーム内の緊張感は続いていた。
開発チームにはまだもう一つの大きな課題が残っていたのである。
それは「パッケージ」であった。
これまでの入浴剤のパッケージに円形や楕円形の筒状が多いのは周知の事実である。また、その色合いやデザインも、日用品らしい明るく華やかなものか「日本の名湯シリーズ」のように情緒に訴えるものが大半を占めていた。
「日用品はこうあるべし」という周囲の声や常識と対峙しながらも、開発陣の心には譲れない一つの決心があった。
それは「きき湯」という商品そのものが開発準備に数年を費やし、何度もそのコンセプトを確認しながらすすめてきた、ある意味「意思を持った商品である」こと。だからこそ、「商品の持つ意思を正確に消費者に説明し、伝えたい」という思いが開発チームの中には存在していたのだった。