温泉博士が語る温泉の利用法

植田 理彦(うえだ みちひこ)

日本温泉気候物理医学会・温泉療法医会顧問、
社団法人 民間活力開発機構 温泉療法システム研究会会長、医学博士

入門編 基本を学ぶ 実践編 正しい温泉入浴法 応用編 温泉の効くメカニズムを知る

温泉の効くメカニズムを知る

●温泉はなぜあれほど気持ちいいのか●

温泉を正しく利用すると健康に良いことは医学的にも認められています。もちろん、体に故障がなくても温泉に入った時の気持ち良さは誰もが認めるところです。ここでは温泉の気持ち良さの理由を探ってみましょう。

お湯につかることの心地よさ

ぬるい湯はリラックス 熱い湯はリフレッシュ あたたかい湯につかるそのことが気持ちいいのは、家庭のお風呂でも同じです。一日の仕事が終ってほっと一息つく入浴の心地よさは、実は気分的な問題だけではないのです。まずお湯に入ることによって「浮力」の作用が働き体重が9分の1近くにもなります。これで全身の筋肉の緊張が一気にほぐれるのです。また「水圧」がかかることによって血行が良くなるマッサージ効果もあります。さらに湯の温度も重要です。ぬるい湯は副交感神経を刺激することでリラックスを誘い、気分を落ち着かせてくれます。反対に熱めの湯は交感神経に作用して、心と体を目覚めに導くのです。

温泉水に含まれる成分が効く

治療効果のある温泉水は主な成分によって9種類に分けることができ、それぞれが体のいろいろな症状に効果があることが医学的に判明しています。 温泉にはその地域や源泉によって、炭酸ガスや食塩、重曹や鉄、さらには硫黄や放射能(温泉は無害)などのさまざまな成分が含まれています。治療効果のある温泉水は主な成分によって11種類に分けることができ、それぞれが体のいろいろな症状に効果があることが医学的に判明しています。また、入浴による効果だけでなく温泉水そのものを飲む効能もあります。温泉に行く時には行きやすい場所などの利便性だけではなく、事前にその温泉の泉質を調べて、自分の体の症状と合わせて温泉を選ぶといいでしょう。

温泉がストレスにも効く理由

毎日の生活とはまったく異なった静かな環境が、ストレスから解放される大きな効果を生む。  転地効果という言葉を聞いたことがあるでしょうか。温泉に行くということは、効能のあるお湯につかるだけでなく、温泉地という普段と違った場所に身を置くことにも意味があるのです。毎日の生活とはまったく異なった静かな環境が、ストレスから解放される大きな効果を生みます。これが転地効果です。自動車の騒音も排気ガスもなく、人込みに押されることもなく、電話も鳴らない環境が心に良いことは容易に想像がつきますよね。山の木々のにおいや潮の香りをたっぷりと吸い込む温泉浴が、体にも心にも効くのです。昔は温泉に行くことでしばし日常の労働から解放され、普段は口にすることのない栄養価の高いものを食べることで健康を増進しました。昔からの伝統ある「湯治」が、現代のストレス社会で新しくその効果が認められているのもうなずけます。

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